もう数年前の出来事なんだけど、ある朝出社しようとマンションの12Fでエレベーターが来るのを待ってた。
すると、同じ階に住む当時中学2年生のアヤ(仮)ちゃんが来て、俺の後ろで携帯をカチャカチャいじってた。
当時アヤちゃんとは特に面識もなく、中2で携帯をいじって軽く化粧してるミニスカでガチヤンキーなアヤちゃんが、キモブサで28歳の俺なんかに挨拶してくるはずもなく、ただじっとドアの脇に貼ってある犬のリードがドアに挟まれて犬が宙ぶらりんにぶら下がっている警告ポスターに目を遣りながら、
(こんな状況ねえわwwってか首ちょんぱエグすぎwww)
などと考えていると、程なくエレベーターが来た。
俺はそのまま奥まで行って振り返る。
すると、携帯に夢中なアヤちゃんはまだ乗って来ない。
(もしかしてキモブサと相乗り嫌がってる?先に行く方がいいのかな?)
とか考え、ドアを閉めようとした瞬間、舌打ち(多分携帯に)しながら乗ってきた。
ドアが閉まり、彼女がドアに向いて振り返ろうとする。
しかし何かが引っかかって途中で止まる。
「えっ?」
ほぼ同時に声が出た。
スカートが挟まれてる・・・・・・?
脳裏に過(よぎ)る首ちょんぱのポスター。
彼女の顔色が変わる。
「あかん!!はよ離れて!!」
ドアから離れようにも動けない彼女。
ズルズルと宙に浮きスカートに締められて胴体が真っ二つになる絵が浮かぶ。
「はわわわわわわわ・・・・・」
明らかな動揺。
咄嗟に彼女のスカートのお腹辺りに手を突っ込んで引っ張るも動かない。
と、側面にファスナーがあるのが見えた。
そこに手をかける。
思いっきり引っ張ると、ホックが弾けてファスナーが開く。
ドアに足をかけなおも引っ張り続ける。
ビリビリと破けるスカート。
「早く脱いで!胴体が千切れる!!」
俺の声にますます慌てる彼女。
足がもつれ俺の方へよろけ、2人して抱き合う様に倒れ込んだ。
下半身丸出しの中2女子が相手だ…などと考えてる余裕もなく、ただただ俺にしがみついて震え倒してる彼女の頭を撫でながら
「大丈夫、大丈夫だから…」
と囁き続けた。
すると不意にエレベーターのドアが開く。
「あれ、アヤ?・・・・って、あんたら何やってんの!!!!!」
何の事はない、1Fのボタンを押してなかったんだ。
もう何か緊張と緩和?
2人とも力が抜けて震えた声で笑うしかなかった。
「何を笑っとんねん!!!この変態っ!!!!!」
と、アヤちゃんの母親らしき女が叫ぶ。
でもアヤちゃんは俺にしがみついたまま動けないでいる。
もちろん下半身丸出しのまま。
後日談としては、その後アヤちゃんはよく俺の部屋に来る様になった。
理由は、片親の母親が家に男を引っ張り込むから。
母親にしても男は呼びたい、でも娘に何かされたらと思うと躊躇してた所へアヤちゃんが自分から俺の部屋に行く様になったので、まあいいかって感じで。
多分当時のアヤちゃんは俺に父性を感じていたと思う。
守られたい願望ってのかな?
よく分からないけど、
「この部屋に居ると安心出来るから」
とよく言ってた。
俺にも変な父性が芽生えたのか、彼女に普通の中学生らしさを求めちゃんと高校も目指す様に説いた。
やがてスカートの丈も長くなり、髪も黒に戻し、明るい声で
「行ってきます」
と言える様になったアヤちゃんと、高校を卒業したら結婚しようと約束した。
この春やっとその瞬間が来る。
アヤちゃんの母親は
「ウチらも一緒に式してええか?ww」
と笑って言ってるけど、アヤちゃんが本気で引いているのでハワイかどっかで挙げようねと計画中。